近況その3

前回の記事でその3で近況報告は終わると最初に書いたので先に言っておく。その3では終われない。

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退職してから1か月の間、生活が終わっていた。3時か4時にならないと眠れない。前職でダメージ受けすぎたか。昼前か昼過ぎに起き、ご飯を食べ、何をするともなく漫然と

過ごした。とりあえず行きたい業界に関係する初歩的な資格は2つとった。簡単すぎて全然オラつけないようなやつだが。

 

 

ある日突然早起きをしてしまう。疲れてなくはないがまあ起きられる。起きる。この日を境になぜか突然生活リズムがマシになった。

 

 

 

 

働こうと思うが4月後半から短いながら学生生活が始まるので、フルタイムは避けたい。バイトを始めた。新宿の某ディープなエリアの中にある小さい飲み屋だ。この頃すでにコロナが流行り始める。うーんと思ったがとりあえず手っ取り早く働き口がほしく、仕方なかった。

 

 

 

 

この飲み屋は僕の行きつけで、ここ3年ぐらい通い続けていた。客の9割5分は外国人。日本人が一人で行くとややびっくりするかもしれない。この店は超狭小で、客の席は7

席ほど、店員は18-22、23時あたりまでとそれ以降朝まででそれぞれ1人が立っていた。

僕はそこそこ酒が飲めてしまうのと、おぼつかないながらも英語が話せてほかの客と話し、盛り上がれることなどから店員たちからもそれなりに気に入られ、朝まで飲んでしまった日は店員とさらに飲みに行ったり、ごはんを食べに行ったりするほどだった。

 

 

 

 

 

コロナが流行り始めてしまっていたのでまあ客が来ない。ヒマだった。あまりにヒマなので爆音で音楽流したり、英単語長開いて勉強したりしていた。

 

 

 

 

 

バイトを始めてから1週間ほど後、突然バイト先のオーナーから電話がくる。営業続けてるから町内組合からは怒られてるけど自分はコロナがなんぼのもんじゃいって思ってる。うちはやり続けるから。

 

まあ確かに違法じゃないからなあと思い、はあ、そうですかと答える。コンセプトを変えるかもしれない。そのときはコンセプトに会わなければクビにさせてもらうかもしれないと言われる。グダグダ話が長い。なんとか30分ほどで電話が終わる。

 

 

 

 

翌日の24時半あたり、なんとなくツイキャスをしていたら突然オーナーから電話がきて仕方なく出る。「結果から言えば閉店することにしました。」意味がわからん。

 

 

彼が持つすべての店舗のスタッフにせめてもの義理の現れだとして電話で連絡していてこんな時間になってしまったと。閉店の理由としては町内組合の偉い人からビデオ撮影をされたことでいよいよ逃げられなくなり閉店という流れだったらしい。そんなことで閉店?意味わからんなと思いつつも勢いに気押されてしまう。テナントでやっている店はすべてつぶし、物件自体所有している僕の働く店はオーナーのお母様に譲るらしい。歯切れが悪いかんじではあったものの30分ほどで通話を終わる。やはり話が長い。

 

 

 

 

 

翌日の午前ここまでの2日間の流れを思い出し、僕は激しくイラついていた。おとといはコロナがなんぼのもんじゃい。死亡率も低いしインフルエンザとそう変わらんわ的なことを抜かしていた人間が突然翌日には店をたたむことにしましたとしおらしくなり電話をかけてくるのだ。

 

 

 

 

はあ?違法じゃないんだからやるって啖呵を切ったんだからそれを通しきらんかとイラつきまくっていた。いや、未知の病原体であるコロナ騒動のさなかなんだから一旦閉めるべきではある。しかし店を開けること自体は違法ではないし、彼のコロナへの認識は上で書いたとおりだ。そして彼はすでに町内会と対立してしまっていることを認識していてなお営業をすると言っていた。狂ってはいると思うが、やるというならやれ。何がやっぱやめますだザコ経営者と思った。

 

 

 

 

 

いつ店を閉めるのかわからなかったかつ、次の店で雇用されねば…と思い、オーナーにSMSでその旨メッセージする。その数分後にオーナーから突然電話がかかってくる。オーナー、電話好きだな…

 

 

 

絶対町内会に詰められたからじゃないっしょ…という思いがあったので冒頭から先制パンチをキメていく。「閉店はいつなんですか?あと、閉店、他にも理由ありますよね?お店にはさんざん通っていて、コロナの前からたびたび町内会に怒られていたのは知っているし、これが理由っておかしくないですか?」と。

 

 

 

 

僕がけっこうブチギレなトーンでしゃべるのでオーナーが完全に負けている。まず閉店時期。昨日だという。意味が分からずあっけにとられてしまう。

 

 

僕がそれでまたキレる。オーナーが閉店理由をしゃべる。どうやら他にも2点理由があり、ひとつは経営者仲間からこの状況はもう無理だよ…と諭されたこと。もうひとつの理由としてはオーナーはそのお母様と激しく折り合いが悪いのだが、そのお母様からお前は経営に向いてない。辞めろ。と詰められたということらしい。

 

 

 

 

 

いや、これでも閉店にする理由がわからないのだが詰めてこれなんだからほんとにこれが理由で、後は彼が質問に対して適切な形で返答する能力がないということなんだなと納得するしかなかった。

 

 

 

 

僕は詰めるという行為には基本的に否定的だ。相手を委縮させるし、従わせられたとして恐怖による支配は相手から思考力を奪う。なんにでもYESと言う人間を作ってしまうだけだ。教育効果がない。

 

 

 

業界によっては「詰める」は伝統文化であり、詰めた、詰められたが武勇伝のように語られる。誰々は鬱で辞めた。誰々は激詰めの日々だったがなんとか出世した。なんでそんなことやっているのか。チームビルディングに失敗しているようにしか聞こえない。

 

 

 

巷のビジネス書の中には部下のしかり方についての本もあるらしいがそんなのウンコ以下だと思っている。「叱る」には疑いようもなく怒りの発散のニュアンスがある。そんなのオナニーじゃないか。意味のある指導とはトーンを荒げず、相手にわかるように粒度の調整をして丁寧に話し、その後も面倒を見ることだけだ。山本五十六の有名な引用に尽きる。それは「叱る」とは呼べないだろう。「叱る」とかウンコである。ウンコ。

 

 

 

 

この時はもう関係が切れるしこんな理念のない人間にただただブチ切れていたので「詰める」でいくことにした。というかイラつきすぎて穏やかな方法がとれなかった。

 

 

 

「次の店の所有者になるお母様の連絡先は?」「折り合いが悪い。教えられない。」

 

 

 

 

 

それは誠意がなさすぎなのでは…と思うがどうやらオーナーと折り合いが悪すぎて、お母様は今いるスタッフたちは全員雇う気はなく、色を変えたいらしい。なんとも収穫のない会話である。

 

 

 

 

会話の最後のほうで、オーナーが、要約すればこうして何度も僕から質問をされ、やりとりをするのは面倒なので今回で質問しきってくれと言い出した。また僕が吠える。「即日解雇しておいて何を言っているのか」。

 

 

 

 

 

オーナーはもはやかわいそうな状態で、「はい…何かあれば答えます…」とか言っていた。でも電話で答えるとか言ってきていて、また何十分も電話はキツいなあと思って「電話では強制的に時間をとられますし普通、メッセージにしませんか?」と伝える。

 

 

 

 

 

もはやオーナーは弱り切っているので「ラインのメッセージで…」とかえってくる。うーんラインか…メールじゃないんか…

 

 

 

 

弱り切っててこれなので、ほんとにメールをする文化をもっていないんだろうな。会社員経験ないとこんなもんだろうか。経営者だしステークホルダーとの会話でメール使うっしょ…と思ったり。

 

 

 

 

よくわからないな…と思いながら電話を切る。好きだった店がなくなってしまった。また無職に戻る。

 

 

 

今日の一曲(2曲目)

You've Got It Bad Girl / Stevie Wonder

こんな記事の最後なので毒抜きの1曲。言わずと知れた、スティービーワンダー御大の名作。超大物Quincy Jonesもプロデューサー的に関わっている。というかQuincy Jonesの曲というのがパブリックイメージかも。夜に椅子に座ってお茶を飲みながら聴きたい曲。

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